アートディレクター
  • 佐藤可士和
  • 大貫卓也
  • 青葉益輝
  • 森本千絵
  • 佐野研二郎
  • 宇川直宏
  • 奥村靫正
  • 國本桂史
  • 日本以外のアートディレクター

大貫卓也

大貫卓也とは?

大貫卓也とは、日本のアートディレクター、クリエイティブディレクターです。東京都出身。代表作といえば、1992年にカンヌ広告祭のグランプリを受賞した日清食品のカップヌードルのCM「hungry?」が挙げられます。原始人がマンモスをおいかけるあの有名なCMです。そして20年強を超えて、資生堂のシャンプー、「TSUBAKI」のCMを手掛けました。このCMはタレントを大量起用して、日本のCM制作の流れをある意味大きく変え、その後、多くの企業がタレントを同時期多人数展開するようになるきっかけを作りました。

アーティストの仕事

大貫 卓也の力

感性が重要なクリエイターにとって20年にわたり、トップでい続けることはそれ自体が評価に値することだといえます。それ以上に、大貫卓也氏は下記のような凄さを持っている人物だといえます。

(1)型にとらわれない力。
日清食品は完全にノンタレントCM。資生堂はタレント大量起用CM。
(2)時代を創る力
時代の流れでCMを作るのではなく、どちらのCMも時代を切り拓いたといえます。大貫卓也氏が作ることで、その後の広告業界のクリエイティブの流れが変わるといえます。
(3)広告主を成功させる力
広告主にとっては、これほど頼もしいクリエイターも少ないのでは無いでしょうか。

プロフィール

私立桐朋高校を経て1980年多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。同年博報堂入社。新人の頃に任されたとしまえんの仕事でいきなり東京ADC賞を受賞。以降、次々と話題作を世に出し「クリエイティブの博報堂」の象徴的存在となります。当時大貫氏が在籍していた博報堂の「宮崎グループ」は金鳥のCMなどで知られる電通関西の「堀井組」と並ぶ名物チームとして業界にその名を轟かせ、優秀な美大生たちが次々と電通の内定を蹴り博報堂に就職したほどでありました。そのシンプルで強力な作風は、佐藤可士和をはじめとする数多くのアートディレクターに多大なる影響を与えています。1993年に博報堂を退社し、大貫デザインを設立しました。その後ペプシコーラのボトルキャップ・キャンペーンや新潮文庫の「Yonda?」といったプロモーション施策、ボトルデザインから手がけた資生堂の「TSUBAKI」、20色の本体を展開したソフトバンクモバイルの「PANTONE」キャンペーンなど、単なる広告制作というよりは商品を売るための施策全体を設計する仕事が目立っています。2010年、「FLOWERS -フラワーズ-」で企画・製作総指揮を担当しました。

主な作品

  • 「プール冷えてます」「史上最低の遊園地」(としまえん)
  • 「DRINK.ROLLING-K」(三楽オーシャン)
  • 「一度でいいから、飲んでくれ。」(三楽オーシャン)
  • 「hungry?」(日清カップヌードル)
  • 「Jリーグ」(ロゴマーク)(日本サッカー協会)
  • 「ペプシマン」(ペプシコーラ)
  • 「GET! STARWARS」(ペプシコーラ)
  • 「Yonda?」(新潮社)
  • 「NUDE OR LAFORET.」(ラフォーレ原宿)
  • 「愛知万博」(ロゴマーク)
  • 「TSUBAKI」(資生堂)
  • 「SoftBank」(ロゴマーク)(ソフトバンク、福岡ソフトバンクホークス、ソフトバンクモバイル)
  • 「FLOWERS -フラワーズ-」(映画)

主な受賞

  • 東京ADC賞(1981年、1986年)
  • 東京ADC最高賞(1987年)
  • 東京ADC会員賞(1989年、1991年、1993年-2002年)
  • 東京ADC会員最高賞(1990年、1992年)
  • ニューヨークADC金賞(1992年)、銀賞(1992年、1993年)
  • カンヌ国際広告祭グランプリ(1992年)、金賞(1993年、1995年)、銀賞(1994年)

ほか多数

日清食品カップヌードル原始人シリーズ

1993年世界の広告賞の頂点であるカンヌ国際広告祭のグランプリを獲得した日清食品カップヌードル原始人シリーズ。実はこの企画にはタイトルがありました。「食欲100万年」宮崎晋CD率いる大貫卓也氏をはじめとする博報堂チームが企画をしたものです。なぜ原始人かというと、「お腹がすいている」時にあんなうまいものはない!カップヌードルは「お腹がすいている人が食べる!」ではこの世で一番「お腹がすいている」 のは誰だ?となったときに、そうだ!年がら年じゅう食べ物を追いかけていた原始人だ!という発想が生まれたということです。ここから前田知己氏によるコンセプトワード「おなかのすいてる人はいませんか?」も生まれました。紙芝居を動かしたような簡単なつくりのビデオコンテですが、スタッフが本気で原始人の声を表現しており、この音声はほんちゃんのCMでも使われています。

作成秘話

このシリーズは、「マンモス」から始まりました。大貫氏の希望であった「実物大の巨大マンモス」による撮影こそ却下されましたが、彼のマンモスへのこだわりは強く、今のようにCGも使えなかった当時、結果的に「ミニチュアマンモスのコマ撮り」という方法論に落ち着きましたが、大貫氏の希望は「世界一のミニチュアマンモス」を作ることでした。まず、コマ撮り特撮VFXの大家といわれている方を見つけます。そしその方から日本だと誰々、世界だとこれこれ、というアドバイスを聞き出し、ミニチュアマンモスを日米のスタッフが競作したといわれています。

大貫卓也の名言集

  • 「広告とか商品開発とか、そういうことを分けて考えることはあまりにも効率が悪いと思います。世の中のすべてがコミュニケーションであり、広告だと思っているので、企画から考えることが自然の成り行きです。」
  • 「僕自身、広告のプロであろうとして、商品を売りたいという企業の希望を叶えることに徹した時期もありました。でも最近は、それだけではつまらないし、「志」みたいなものがない仕事はやる気がわきません。」
  • 「企業がブランドをつくっていくためには、単に商品が売れることだけでなく、それが世の中にどのような影響を与えるか、そこまで考えていく必要があるのです。これからの企業は、ひとつひとつの活動が人々にどういうイメージを与え、影響力を持つか、そして企業に戻ってくるか、そこまで考えていかなければいけない時期に来ていると思います。」
  • 「『TSUBAKI』の広告にこだわったのは、本当に社会的影響力を持たせたかったからでもあります。この広告で日本中の女性の背中を押してあげることが本当にできたら、素晴らしいのではないか。一番やりたかったのはそこなんです。今回の仕事は、日本女性を外側からも内側からもきれいにする、そんな広告を目指したんです。」
  • 「「いいキャンペーンでしたね」と評価されるとか、広告賞を受賞するとか、そんなレベルでは終わらせたくなかったんです。とにかく見た人が、「きれいだ」と圧倒されるような広告をつくりたかった。ちょっとカッコよく言えば、「美しい!」の連続で、感動させたいと考えたのです。」
  • 「シャンプーをつくるという発想ではなく、化粧品としてのシャンプーをつくるというのが『TSUBAKI』の根底にはあります。だから、パッケージも色も、従来のトイレタリー(洗面用品)商品の概念を破るようなものをあえてつくったのです。」
  • 「僕が社会的にいい影響を与えるものをつくりたいと意識するようになったのは、愛知万博の仕事をやったことがきっかけなんです。あのとき、「自分のアイデアひとつで、日本を良い方向に変えることができるかもしれない」と本気で思ったのです。広告にも人々の気持ちを変える力がある。広告もバカにしたもんじゃないぞ。最近は、そんなことを考えながら仕事をしています。」
  • 「『TSUBAKI』は単なるネーミングではなく、女性像(これからの日本女性の象徴)であり、商品特性(椿油から抽出した美容オイルが入っている)であり、資生堂そのもの(花椿マークは資生堂の象徴)なんです。商品コンセプトとして僕がまず考えたのは、「日本発」ということでした。競合商品はアジアや欧米の美しさをコンセプトにしていましたが、資生堂ならやはり目の前にある日本の美しさだろうと。」
  • 「『TSUBAKI』の広告については、新しい自分流の広告ではなく、資生堂のやり方で突破すべきだと思っていました。それも、自分が若いころから憧れていたような、圧倒的なスケール感があって、世の中を揺さぶるような「資生堂の広告」をつくりたかった。かつての資生堂がやっていたキャンペーン広告のようなイメージです。資生堂の手法で成功することが重要だったんです」
PR
最新情報
←
→